パーソナルトレーニングの需要減少の理由
パーソナルトレーナーとして私、おぜきとしあきが感じている、パーソナルトレーニングの需要減少の理由はいくつか考えられます。以下に、その要因と今後のパーソナルトレーニングの需要を分析していきます。
経済的要因
- パーソナルトレーニングは一般的に高額であり、特にここ数年の物価上昇や景気後退の影響で可処分所得が減った人々が、支出を控える傾向にある。
- 特に日本では、目に見えないサービスにお金を払う習慣のない中、パーソナルトレーニングという目に見えないサービス価値に、月数万円単位の出費は、余程の価値を感じられないと、日常生活に不可欠であると認識されない。
所見
経済的な不安が広がると、人々は自然と「支出を抑えよう」とする傾向があります。生活必需品以外の出費、特に娯楽や趣味、サービス系の支出は真っ先に見直されやすく、パーソナルジムもその対象になりやすいのが現実です。しかし一方で、景気が悪いときほど「自分の価値を高めたい」「不安な時代を乗り越えるために自信をつけたい」という欲求が高まり、自己投資としてパーソナルジムに通い続ける、あるいは通い始める人が一定数存在するのも事実です。
不況下における購買行動は、「本当に必要なもの」「価値が明確に見えるもの」への選別が強まります。つまり、“価格”よりも“納得感”が重要視される傾向になるのです。パーソナルジムは月額数万円という決して安くない出費であるにもかかわらず、「短時間で結果が出る」「自分に合った指導が受けられる」「心と体の両方が整う」といった具体的なベネフィットが得られるため、自己投資先として選ばれるケースが多く見られます。
また、パーソナルジムの魅力の一つは「ムダがないこと」です。大衆向けのフィットネスジムでは、何をすればよいか迷って時間だけが過ぎてしまったり、間違ったフォームでトレーニングして効果が出ずに終わるということも起こり得ます。その点、パーソナルトレーナーがついていれば、限られた時間の中で最大限の成果を引き出すことができ、結果的に「コスパが良い」と感じられるのです。
さらに、経済的な不安定さが人のメンタルにも影響を及ぼす中で、身体を動かすことは非常に有効なセルフケア手段です。パーソナルトレーニングは、ただ筋肉を鍛えるだけでなく、ストレス軽減や自己肯定感の向上といった心理的メリットも提供してくれます。このように、景気が悪いからこそ「心身を整えることの価値」が高まるという点で、パーソナルジムは単なる贅沢品ではなく、「現代人のライフラインの一部」としての役割を持ち始めています。景気が悪化している時期においても、「本当に必要なもの」「自分の未来に確実に役立つもの」への投資は止まらないどころか、むしろ強まる傾向にあります。
オンライン・フィットネスの普及とその限界
ここ数年で、フィットネスの世界において最も大きな変化のひとつが「オンライン化」でしょう。特にコロナ禍をきっかけに、リアルな場所に集まって行うトレーニングが制限される中で、YouTube、フィットネス系アプリ、Zoomなどを活用したオンライン・フィットネスが急速に広まりました。
■ 自宅で気軽に運動できる時代の到来
今や、スマートフォン一つあれば、自宅で筋トレ、ヨガ、ピラティス、ストレッチ、有酸素運動など、あらゆるトレーニングが無料でできてしまう時代です。YouTubeには「5分で腹筋」「寝たままできる脚痩せ」「1日10分で肩こり改善」など、誰でも取り組みやすいプログラムが溢れています。さらに、FiNC、BeatFit、LEAN BODYなどの月額制アプリでは、プロのインストラクターによるレッスンが豊富に用意されており、ジムに通う手間も不要です。
こうしたサービスの魅力は何といっても「手軽さ」「安さ」「時間の自由」。子育て中の主婦、在宅勤務中の会社員、地方在住の高齢者まで、誰もが場所を問わず自分のペースで運動を続けられる環境が整いました。とくに日本のように「人の目が気になる」「ジム通いはハードルが高い」と感じる層にとっては、オンラインフィットネスはまさに救世主とも言える存在となっています。
“在宅トレーニング文化”の定着
オンラインフィットネスは、単なる一時的な代替手段ではありません。コロナ禍を経て、人々の行動様式そのものが変化しました。
・通勤時間がなくなったことで、朝や昼に運動する人が増加
・「ジムに行く=面倒」という価値観が消えた
・健康維持を自己管理の一環と捉える層が増えた
・時間・距離・費用の制約から解放されたことによる習慣化の加速
これらの要因により、“自宅で動画を見ながら運動する”というライフスタイルは、すでに多くの人々の間で当たり前の選択肢として定着しています。実際、「週に一度はオンラインで何らかのフィットネスを行う」という人は年々増加傾向にあり、市場としての成長性も高く評価されています。
しかし進まない「オンライン・パーソナルトレーニング」
このようにオンラインフィットネス全体が拡大する中で、「オンライン・パーソナルトレーニング」の進展は、思ったほど加速していないのが現状です。
一見すると、ZoomやGoogle Meetなどを使えば、対面のように1対1で指導できそうに思えます。しかし、実際にオンラインで個別指導を試してみると、そこにはさまざまな“限界”があることに気づかされます。
オンラインでの個別指導が難しい理由
オンライン・パーソナルトレーニングが難しい理由は主に以下の点にあります。
- カメラアングルの制約
クライアントがどの角度で映っているかによって、フォームのチェックに限界が出ます。たとえば、スクワットやデッドリフトのような全身を使う種目では、関節の角度や体の傾きが見えにくく、細かい修正が難しくなります。 - 身体に触れられない
対面のパーソナルトレーニングでは、トレーナーが直接身体に触れて、骨盤や肩の位置を調整したり、力の入れ方を誘導したりすることができます。オンラインではこれが一切できないため、誤ったフォームのまま動きを続けてしまうリスクが高くなります。 - タイムラグや通信環境の不安定さ
リアルタイムでのやり取りにラグがあると、動作のタイミングや指導のテンポにズレが生じ、集中力が削がれる原因にもなります。 - モチベーションの維持が難しい
画面越しのコミュニケーションでは、感情の共有や空気感の一体感が薄れやすく、リアルな場でのような「やる気」や「安心感」を得るのが難しいと感じる人もいます。 - 環境の整備が個人まかせ
照明・スペース・騒音・ネット環境など、快適なレッスン環境を整えるのはクライアント側の責任になります。これも継続を妨げる要因のひとつです。
指導者と受講者の間に生じる“期待のギャップ”
パーソナルトレーニングを求める人は、通常「自分の状態に合わせて柔軟に調整してくれる」「できない動作をその場で正しく導いてくれる」というきめ細かなサポートを期待しています。しかしオンラインでは、これらを100%満たすのが難しいため、期待と現実にギャップが生まれやすいのです。
受講者は「対面と同じレベルのサポート」を期待する一方で、パーソナルトレーナー側は「技術的な制限」によって、十分な対応ができない場面もある。こうしたすれ違いが、リピート率の低下や不満感につながっているのが実情です。
今後オンラインフィットネスの可能性と課題
とはいえ、オンライン・パーソナルトレーニングが完全に価値を持たないかというと、決してそうではありません。たとえば、
- 運動初心者への「導入的サポート」として
- 遠方に住んでいて通えない人への指導手段として
- 定期的なフォームチェックやアドバイスのみの提供として
など、オンライン特有の利点を活かした「ハイブリッド型サービス」の可能性は広がっています。
また、カメラワークや配信環境の改善、VR・AR技術の導入、AIによるフォーム補正など、テクノロジーの進化によって今後オンライン指導の質は確実に高まっていくでしょう。
オンラインフィットネスは、「リアルを完全に置き換える存在」ではありません。むしろ、目的や状況に応じてリアルと使い分ける“選択肢の一つ”として捉えるべきです。
パーソナルトレーナー側も、パーソナルトレーニング受講者側も、オンラインの限界を知った上で、そのサービスを捉える必要があります。特に、パーソナルトレーニング利用者は、また、「リアルの価値」「タッチの重要性」「集中できる環境の必要性」などを理解した上で、オンラインパーソナルトレーニングを申し込むことが求められると思います。
24時間ジムの拡大
Anytime FitnessやchocoZAPのような格安・便利なジムが拡大し、自分のペースでトレーニングできる環境が支持されています。
24時間ジムの拡大は、一見するとパーソナルジムとの競合関係に思えますが、実はこの二つは共存できる、むしろ補完し合える関係だと言えるでしょう。24時間ジムの強みは「手軽さ」と「自由度」です。月額料金が安く、自分の好きな時間に通えるため、仕事や家事の合間にさっと運動したい人にとっては理想的な環境です。しかし、その反面「続けられない」「正しいやり方がわからない」「フォームが不安」「モチベーションが維持できない」といった悩みを持つ人も多く、自己管理に課題を感じて離脱してしまうケースも少なくありません。そこで求められるのが、パーソナルジムの存在です。パーソナルジムは「知識・技術・伴走」の三本柱で、利用者一人ひとりに最適化されたサポートを提供します。体の使い方や筋力のバランス、日常動作の改善、食事のアドバイスまで、個別対応で結果に導く力があります。これは、24時間ジムでは得られない大きな価値です。
近年では、この二つのジム形態を併用する人も増えています。たとえば、週1回パーソナルジムで正しいフォームやトレーニングメニューを確認し、残りの日は24時間ジムでその内容を自主的に実践するというスタイル。これにより、「自己流で間違ったやり方を続けてしまう」というリスクを防ぎつつ、経済的にも効率的にトレーニングが可能になります。
今後のフィットネス業界は、「セルフトレーニング」と「個別指導」のバランスが鍵になるのかもしれません。24時間ジムが運動の入り口を広げ、パーソナルジムがその継続と深化を支える。逆に、パーソナルジムがトレーニングの入口となり、24時間ジムがその継続となることもあるでしょう。
フィットネスの熟成化
かつては非日常の象徴だったフィットネスが、今では“日用品”のような存在になりつつあります。ウォーキング、軽い筋トレ、ストレッチ、マインドフルネスなど、「特別なことではないけれど、毎日のように必要なもの」へと変化しています。
フィットネスの熟成化:目的志向からライフスタイル化へ
かつてのフィットネスの世界は、ごく限られた目的を持った人たちのものでした。たとえば、「筋肉を大きくしたい」「腹筋を割りたい」「短期間で痩せたい」など、いわば“変化を起こすための行動”としてジムに通うのが一般的でした。明確な目的や期限がある人がほとんどで、モチベーションが高く、強い意志を持っている層に限られていたのです。しかし、現在はその構造が大きく変わりつつあります。今のフィットネスは、“結果を出すための場”というよりも、“日常の一部”として機能してきています。これは、フィットネスが「熟成化」してきた証です。
フィットネスが“習慣”になった社会
たとえば、ジムに通っている理由を聞いてみると、「体を整えたい」「健康診断で引っかかりたくない」「ストレス解消」「肩こりや腰痛を改善したい」「人と会う口実として」など、ライトかつ日常的な理由が非常に多くなっています。かつてのような“劇的変化”を求めるのではなく、“今の状態を少しでも良くしたい”という、緩やかな自己改善欲求にフィットネスが応えるようになってきたのです。この背景には、社会全体の「健康意識の高まり」や「長寿化」、「リモートワークによる運動不足」「メンタルケアへの関心の上昇」などが影響しています。現代人にとって、フィットネスはもはや“選ばれし者の趣味”ではなく、“全員にとっての生活の延長”になってきているのです。
専門的な指導を必要としない人の増加
このフィットネスの大衆化・習慣化に伴い、「専門的な指導は必要ない」と感じる人も増加しています。なぜなら、目的が明確なわけではないからです。「ゆるく続けたい」「軽く動ければいい」「別に筋肉が増えなくてもいい」という感覚であれば、YouTube動画を見ながら、24時間ジムで気ままにトレーニングするスタイルで十分満足できる、という人も少なくありません。
この「指導を必要としない層」の拡大は、パーソナルトレーニング市場にとっては大きな逆風となり得ます。なぜなら、彼らにとってパーソナルトレーニングは「敷居が高く」「目的に対して過剰なサービス」に映るからです。これは決して悪いことではなく、フィットネスの裾野が広がったことによる自然な現象と言えるでしょう。
“強度”よりも“継続性”が重視される時代へ
また、今のフィットネスでは、「どれだけキツいトレーニングができるか」ではなく、「いかに長く続けられるか」が重視される傾向にあります。ハードで短期的なプログラムよりも、負担が少なく、生活リズムに溶け込みやすい運動習慣が求められるようになってきました。
そのため、ストレッチ、ヨガ、軽めの筋トレ、有酸素運動、マインドフルネスなど、より身体と心のバランス”を整える内容が主流となりつつあります。ここでも、必ずしも専門家の指導は必要ではなく、「自分の心地よいペースでできるかどうか」が重要視されるのです。
ライトなフィットネスとプロの指導の“住み分け”が必要
このような「ライトフィットネス」のニーズが拡大する一方で、すべての人が専門指導を必要としないわけではありません。むしろ、年齢や体力、病歴、目標によっては、「自己流では限界がある」「プロのアドバイスがなければ効果が出ない」と感じる層も一定数存在します。
今後は、誰でも通えるジムと専門指導を提供するジムの住み分けがより明確になっていくでしょう。前者は「気軽に動きたい人」、後者は「確実に成果を出したい人」や「安全にトレーニングしたい人」です。
SNSや情報の拡大
トレーニングの深い知識がネットやSNSで簡単に得られるようになり、専門的なパーソナルトレーナーに頼らなくてもある程度自己管理できると感じる人が多くなっています。
SNSをはじめとする情報発信プラットフォームの拡大により、誰もが気軽にトレーニングやダイエット、食事管理に関する情報を手に入れられる時代になりました。InstagramやYouTube、TikTokでは、モデルやインフルエンサー、トレーナーが日々のルーティンや食事法、トレーニングメニューを公開し、まるで無料で“学べるジム”のような感覚さえあります。これにより、多くの人が「わざわざ高額なパーソナルトレーニングを受けなくても、自分でできる」と考えるようになってきました。しかし、そこには大きな落とし穴があります。
まず第一に、「情報の信頼性」の問題があります。SNS上にはプロのパーソナルトレーナーによる発信もありますが、一方で、知識や資格のない素人が見た目やフォロワー数だけを武器に発信しているケースも多く見られます。特に、極端な食事制限や短期間での激変をアピールする投稿には注意が必要です。それらは一時的な成果に過ぎなかったり、身体に無理をさせていたり、長期的に見ると健康を損なう危険性を孕んでいることが少なくありません。
次に、「自分に合っているかどうか」という視点の欠如も問題です。SNSで紹介されているメニューは、あくまで発信者本人の体質や目的に基づいて組まれたもの。同じトレーニングをしても、年齢・性別・筋力レベル・柔軟性・既往歴などが異なる人にとっては、効果が出ないどころか、ケガのリスクを高めることさえあります。つまり、「真似できる=正しいアプローチ」とは限らないのです。
さらに、「習慣化と継続」の観点も見逃せません。SNSで得られる情報は断片的で、モチベーションが高いときは取り組めても、疲れた日や仕事が忙しい日には挫折しやすい傾向があります。パーソナルトレーナーは、知識だけでなく、継続のためのモチベーション管理や心理的サポートも提供してくれます。継続の壁に直面したとき、自分一人では乗り越えられない場面も、パーソナルトレーナーの存在があれば支えになります。
サービスの質にばらつき
金額に見合ったサービスであると感じられず、裏切られたと感じていようです。これは、パーソナルトレーナーの質や専門性やパーソナルトレーナーの力量範囲が、消費者に伝わっていなかったからと考えられます。ダイエット成果など、料金に見合ったと感じないと、人はリピートしなく、結果、パーソナルトレーニングの需要が減少していると考えられます。
パーソナルトレーニング市場の拡大とともに、パーソナルトレーナーのスキルや知識にばらつきが生じており、形だけの「マンツーマントレーニング」が増えているのも事実です。たとえば、画一的なメニューをすべての顧客に適用したり、フォームの指導が曖昧だったり、食事のアドバイスが根拠に乏しいケースも少なくありません。
こうした質のばらつきは、利用者の「期待外れ」を生み出します。高額な料金を支払ったのに効果が出なかった、指導が雑だった、信頼関係が築けなかったなどの体験は、利用者にとって大きな失望となり、SNSや口コミサイトを通じて広がっていきます。すると、本来は高い価値を持つはずのパーソナルトレーニング全体に対する不信感が生まれ、「高いだけで意味がない」「自力でやった方がマシ」というイメージが形成されてしまう恐れがあります。さらに、質の低いパーソナルトレーナーによる誤った指導は、単に効果が出ないだけでなく、怪我や体調不良といった健康被害にまでつながる可能性があります。その結果、「ジムに通って逆に身体を壊した」というネガティブな声が出てしまえば、市場全体の信用が損なわれ、優秀なパーソナルトレーナーまでもが不利益を被る状況になります。
このようなリスクを抑えるためには、パーソナルトレーニング業界全体で一定の品質基準や資格制度の整備が求められます。すでに一部の団体では、認定資格や教育プログラムを設け、パーソナルトレーナーの知識と技術の底上げに取り組んでいますが、まだ業界全体に十分に浸透しているとは言い難いのが現状です。
また、利用者自身がサービスの質を見極める目を持つことも重要です。料金だけで判断するのではなく、パーソナルトレーナーの実績・専門性・コミュニケーション能力などを総合的に比較・評価し、自分に合ったパートナーを選ぶことが、満足度を高める鍵となります。格安料金にはやはりそれなりの理由があると考えた方が良さそうです。
パーソナルトレーニングの今後
以上の理由から、パーソナルトレーニングの需要減少が進んでいますが、そもそも、20年前には、パーソナルトレーニングの需要自体が非常に小さなものだった事実を考えれば、この10数年のパーソナルトレーニング需要が、異常だったとも言えます。
2025年現在、パーソナルトレーニング業界は、華やかな表面の裏で淘汰の時代に入っています。しかし、それは単なる「衰退」ではなく、「進化の始まり」なのかもしれないと思ったりしております。
街の個人レッスンをしてくれるピアノ教室やギター教室が全くなくなることがないように、個人的に丁寧に教えてもらった方が良いと感じる人が皆無になることはなく、今後もパーソナルトレーニングの需要が皆無になることはないと、パーソナルトレーナーおぜきとしあきは、分析しています。
ブームの終焉と“正常化”
まず、冷静に過去を振り返ってみましょう。パーソナルトレーニングという文化が一般の人々にまで広く浸透しはじめたのは、この10〜15年ほどの話です。それ以前は、アスリートや芸能人、限られた富裕層のための“特別なサービス”という位置づけでした。2000年代後半から、健康志向の高まりやメディア露出、インスタ映え文化などが後押しとなり、誰もが「専属トレーナーをつける時代」に突入した。まさに、一種の社会現象的な“ブーム”でした。
しかし、ブームは必ず終わります。むしろ、終わるからこそ、価値ある本質だけが残り、業界全体が正常化・熟成していく。それが今、まさに起きているのだと私は考えています。これまでのような“何となくかっこいいから通う”“インスタで流行っているから通う”という動機ではなく、「本気で自分を変えたい」「健康と向き合いたい」「一生ものの身体を手に入れたい」という本質的なニーズに基づくユーザーだけが、今後のパーソナルトレーニングを支えていくことになるでしょう。
「淘汰」とは「進化」の裏返し
今、業界には確かに“淘汰”の波が来ています。新規顧客が減少し、継続率が落ちているパーソナルジムも増えてきました。特に、表面的なサービスだけで勝負していた店舗や、マニュアル通りの指導しかできないトレーナーは、厳しい時代に突入しているのは事実です。
しかし、これは見方を変えれば“チャンス”です。質の高い本物のサービスが求められる時代入ったということ。個々のパーソナルトレーナーの資質、パーソナルジムの提供価値、指導スタイルの革新性が問われているのです。たとえば、「筋トレだけ」「痩せるだけ」の指導ではもう不十分で、「なぜそのトレーニングが必要か」「食事・メンタル・生活習慣も含めてどう整えるか」といった、包括的なコーチング力が求められています。
このような変化に適応できるトレーナーにとっては、むしろ追い風です。今後、生き残っていくのは“スキルのあるトレーナー”だけではありません。“人間力のあるトレーナー”、つまり、寄り添い・共感し・ともに歩むパートナーとして信頼される存在が評価される時代になるのです。
「個人レッスン」という普遍価値
私、おぜきとしあきは、こうも思っています。
ピアノ教室や書道教室、ギターの個人レッスンが今も町に存在しているように、「1対1でじっくりと教わる」というスタイルは、時代が変わってもなくなることはありません。それはなぜか?
“人は、誰かに見てもらっているときに、最も成長するから”です。
これはパーソナルトレーニングでも同じです。フォームが崩れていればすぐに修正してもらえる。体調や精神状態の変化にも即応してくれる。何より、「自分のことをちゃんと見てくれている人がいる」という安心感と緊張感が、継続と成長の大きな原動力になります。もはや、パーソナルトレーニングは「贅沢品」ではなく、「人間らしい学びの原点」にあるサービスにシフトしつつあります。詳しくは、パーソナルトレーニングのメリットもご覧ください。
超少子高齢化社会との相性の良さ
日本はこれから、世界でも類を見ない速度で超高齢化社会に突入します。実際、今後最も増えるであろうフィットネスのニーズは「健康寿命の延伸」「転倒予防」「認知症予防」といったシニア層の課題に直結した内容です。
このような時代にこそ、“マンツーマンで身体の状態を見ながら適切に運動を指導できる存在”は、まさに不可欠です。しかも、高齢者ほどオンラインに不慣れで、自主トレーニングのハードルが高く、パーソナルトレーニングのニーズが潜在的に非常に高い層でもあります。
若者向けの“ボディメイク文化”から、シニア向けの“機能改善型指導”へと市場の軸足を移しも必要なのかもしれません。
多様化する顧客ニーズへの対応
- テンションが上がる綺麗なパーソナルジムでトレーニングをしたい
- 身体だけでなく、メンタルのサポートも欲しい
- 短期集中ではなく、ライフスタイル全体を変えたい
- 女性トレーナーに指導してほしい
など、現代の顧客は「ただ痩せる」「ただ筋肉をつける」では満足しません。人生全体をよりよくするためのパーソナルトレーナーを求めているのです。そこにパーソナルトレーニングの新しい可能性が広がっています。
これからのパーソナルトレーニングの定義とは?
私は、これからのパーソナルトレーニングとは、単に身体を鍛える指導ではなく、
「自分自身と向き合い、人生を整える時間の提供」
だと思っています。
その時間は、時に励まされ、時に自分の限界に気づき、時に涙するような、心と体の“内省”の時間でもあります。
だからこそ、「誰に教わるか」「どんな関係を築けるか」が極めて重要です。パーソナルトレーナーという存在は、クライアントの“第二の人生の設計士”とも言えるのかもしれません。
総じて言えるのは、パーソナルトレーニング業界は今、「本物だけが生き残る」時代に入りました。華やかなブームが落ち着いた今だからこそ、本質的な価値を提供できるパーソナルトレーナーの出番です。パーソナルトレーニングのお役立ち情報もぜひご参照ください。
これからの時代、パーソナルトレーニングは「健康インフラ」として定着していくでしょう。人の手による、丁寧なケアと指導。その価値は、むしろこれからの不安定な社会において、ますます求められていくはずです。
パーソナルトレーナーとして、私おぜきとしあきは、淘汰の時代=再生の時代と捉え、これからも一人ひとりに寄り添った真の価値を届けていきたいと考えています。
パーソナルトレーナーの選び方についてのページも、ぜひ合わせてご覧ください。
パーソナルトレーニングのお役立ち情報
パーソナルトレーニングがもったいないとき
自分にはパーソナルトレーニングなんて贅沢?知り合いが、パーソナルトレーニングなんて、もったいないという・・
パーソナルトレーニングはいつまで続けるべき?ずっと続ける?
パーソナルトレーニングをいつかは卒業しなければならないと思い、続けることを迷うのことがあります・・
パーソナルトレーニングはお金の無駄?
人によりお金の使い方は異なります。パーソナルトレーニングはお金の無駄だし勿体無いと考えるは当然です・・・
パーソナルトレーニングを選ぶヒント10選
一昔前と違い、パーソナルトレーニングが誰でも認知されるサービスとなり選択肢が増加しています。パーソナルトレーニングを選ぶヒントの列挙しています。
パーソナルトレーニング受講のマナー
サービスをする側のマナーについては良くある話ですが、パーソナルトレーニングを受ける側のパーソナルトレーニング受講マナーについては、なかなか語られることはないかと思います。
パーソナルトレーニングのメリット
パーソナルトレーニングには、効率性だけでなく、他にもメリットが多くあります。パーソナルトレーニングの魅力や利点を列挙してみました。
良いパーソナルトレーニングとは
パーソナルトレーニングの良い悪いは受講者側の感じ方に加え、普遍的な要素として、パーソナルトレーニングの再現性という視点でとらえてみると、、、
パーソナルトレーニング時の服装
動きやすいのが前提にありながらも、パーソナルトレーニングだからこそ、気を使うと良い服装もあります。
パーソナルトレーニングの需要減少の理由
パーソナルトレーニングを受講する人が近年急速に減少しています。それに伴い、2025年廃業するパーソナルジムも非常に多くなっています。